ロードバイクはまるで賽の石を積むが如く〜箱根山周遊ライドで思ったこと〜

様々なクライムコースが存在するロードバイクの名エリア「箱根」で、箱根山を周遊する、一泊二日のロードバイク旅に行ってきた。そこで分かったのは「箱根へ向かう道」よりも「箱根を周回する道」のほうが圧倒的に楽しいということ。同時に、箱根ならではのカルデラが作り出す激しい地形は、かなりハードで、まさに苦行のよう。そんな箱根ロードバイク旅の記録。

【丹沢・ヤビツ】山伏峠

国道413号「道志みちクライム」の終着点であり、富士山エリアの始まりでもある山伏峠「海抜1110m」。休日は多くのローディが往来している。もし神奈川県側からここを目指して走るなら、長距離の山間部を長時間走らなければならいため、しっかりと準備をしなければならない。峠まで来てしまえば、戻る方法は限られている。来た道を戻るか、山中湖側「富士山駅」への18.5kmを下るか、三国峠(距離2.7km/斜度6.7%)を超えて御殿場方面(駿河小山駅)まで21kmの道のりを行くしかない。

【丹沢・ヤビツ】ヤビツ峠(761m)

丹沢山系内で唯一の南北を繋ぐ(秦野〜宮ヶ瀬)通行可能な道(県道70号秦野清川線)にある峠。特に、秦野方面の峠道は「表ヤビツ」としてヒルクライムの練習場として人気で、土日は常にロードバイクが絶えない。40分がひとつの基準タイムとするのが一般的。ただ、峠道は道幅が狭く、近隣住民の生活道でもあるにもかかわらず連日多くのローディが訪れるため、危険が絶えないと自治体でも問題として取り上げられているほど。クライムの際には普段以上のマナーと気遣いを持って走ってほしい。ブラインドカーブも多く、ダウンヒルなどは厳禁だ。

【丹沢・ヤビツ】ZEBRA Coffee & Croissant 津久井本店

ヤビツ峠や道志みちを走るローディにとって御用達のカフェ。いつ訪れても、数人のローディたちがカフェタイムを楽しんでいる。人気の理由はいくつかあり、道志みちに近い立地、店内に自転車を持ち込めるウェルカムさ、そしてやはり「工場を改装したオシャレな雰囲気」だろう。店舗の頭文字「Z」をあしらった大きなエントランスドア。元は工場だったため天井は高く、温かなオークの床材にむきだしの無骨な鉄骨構造。調度された実物大に近い馬の像や、真空管アンプとアンティークレコードが彩り、懐かしくも新しい空間を作り出している。もしネックをあげるとするなら、あまりに居心地が良すぎて、はやく走り出さなければならないのに思わず長居してしまうところだ。

【丹沢・ヤビツ】ルート03「道志みちクライム」

首都圏でのロングヒルクライムといえば「道志みち」だ。道志みちへ向かうならJR横浜線「橋本駅」かJR中央本線「高尾駅」が最寄りだが、どちらも海抜150m前後。そこからゴールの山伏峠(1110m)までを50kmほどかけて徐々に登るため、平均斜度で言えば大したことはない。しかし道志みちは非常にアップダウンがいくつもあり、その獲得標高は1300mを超える。50kmという距離を考えれば、その体感はもっと高くなるだろう。中継ポイントとしては、ルート序盤の津久井湖にある「ZEBRA津久井本店」と、後半の「道の駅 どうし」が有名。また、道志みちはかなりの山間部を走ることなるため、場所によっては最寄り駅まで30km以上になることも。道志みち途中でのトラブルはかなりの出費につながる可能性もあるので準備は入念に行った方が良いだろう。

【三浦半島】三浦うみかぜレンタバイク

「三浦うみかぜレンタバイク」は、三浦海岸沿いの、ロードバイクやファットバイクなどのレンタルも行っているスポーツ自転車専門。フルカーボンの本格的なロードバイクにも乗れるので、これからロードバイクを始めようか迷っている人には特にオススメだ。立地的にも三浦半島の南側の中央あたりに位置し、タクシーでもすぐ行けるので、不意のトラブル(チェーンが切れたなど)にも対応しやすい。

【三浦半島】海を眺める丘(明神神社前)

三浦半島の南側、小高い丘の上にある明神神社のへ向かう坂を登りきると、太平洋が一望できるビュースポットが迎えてくれる。三浦半島の起伏に富んだ地形に広がる田園風景と、海に突き出すように立つ宮川公園の風車、そしてただただ真っ直ぐに伸びる水平線が美しい風景を作り出している。付近の田園もライドにはうってつけのエリアだ。

【三浦半島】大楠山(おおぐすやま)/大楠山ビューハウス

大楠山は三浦半島の最高峰(242m)地点だ。山頂には大楠山ビューハウスという休憩所兼展望台があり、富士山や箱根連山、房総半島、天気の良い日には、伊豆半島、大島まで360°のパノラマビューを楽しむことができる。ただ、途中から車両通行用に整備された道路ではないため、クライムルートはシクロ向けのような道になる点に注意。東西に延びる丘陵エリアは風致地区として保護されており、豊かな自然を楽しむことができるため、少々ハイキングして見ても良いだろう。

【三浦半島】観音崎砲台跡群

三浦半島の最東端に位置する、西洋式の砲台群。明治時代に建設された煉瓦造りの砲台跡は非常に趣のある雰囲気。日清・日露戦争時に戦闘配備されたそうだ。全部で9つの砲台があり、東京湾の入り口に位置するこの場所がいかに重要だったかをうかがい知ることができる。おすすめは第二砲台とそこへ続く暗く小さな煉瓦隧道(写真)。自転車で通ることができるのでログライドの途中でも気軽に立ち寄流ことができる。

【三浦半島】観音崎レストハウス(夢Dream食堂)

見た目はお世辞にも新しいとは言えない雰囲気を漂わせているものの、出される料理に間違いなし!元は海の家として運営されていた建物が、2016年に新たにオープンした定食屋さん。毎朝地元の漁港から直接仕入れた"しらす"や"まぐろ""アジ"などの地魚の定食や丼などが味わえる。テラス席でのBBQもできるため、横浜あたりから早朝に出発して、お昼にはみんなで岬の海鮮物を焼いて宴席、なんてプランも魅力的だ。右回りに半島を回る際には、ここを過ぎたあたりから、起伏の激しい道のりが始まる。

【三浦半島】ルート05「三浦半島観光ライド」

三浦半島の南側の観光名所を巡るビギナー向けルート。ロードバイクのレンタルも行なっている自転車ショップ「うみかぜレンタバイク」をスタート地点にして、三浦海岸のビーチに始まり、毘沙門坂、城ヶ島、三崎港のまぐろ料理、農産物直売所などの、観光名所を巡る44kmほどのルート。獲得標高も550mと低めに設定してあるが、後半には大楠山越えが待ち受ける。小さいながらヒルクライムも楽しめる。最後は、214号線の雄大な田園風景をゆったりと楽しみながら三浦海岸へへと下る。美しい風景も、半島独特の道のりも、地場の料理も…、三浦半島の魅力を思う存分詰め込んだ1日になる。

【箱根】仙石原

箱根山の麓に広がる一面のすすき野原。見下ろせば、金時山・長尾峠を含む古期外輪山の峰々に周辺を囲まれた盆地の雄大な風景が広がる。すすき以外は本当に何もない場所だが、静かに風になびく一面のすすきと広がる景色が、疲れたローディの心を癒してくれる。温泉や美術館などが注目されがち箱根において意外とオススメの自然スポットだ。(余談だが、かのアニメ版「エヴァンゲリオン」で相田ケンスケが「ひとりサバゲー」を行っていた場所がまさにここだ)

【箱根】ルート03「湯河原発-箱根山周回ルート」

獲得標高2000m弱!クライマー向きの上級者向けコース。湯河原駅から椿ラインで大観山を超え、箱根山を周回するルート。大観山へは18km弱で1000m弱を一気に駆け上り、その後は起伏に富んだ箱根山を周回、再度大観山経由で湯河原に戻るという、クライム計4回で獲得標高2000m弱という上級者向けコース。クライムに自信がなければ、箱根山を周回せずに箱根旧街道を湯本方面に降る選択肢も。

【箱根】ルート02「小田原からのクライムルート」

小田原駅から箱根最高地点の大涌谷まで一気に駆け上るクライムルート。帰りは仙石原を抜け、箱根裏街道を通り、箱根湯本駅をゴールとしている。東京方面であればロマンスカーで輪行帰宅するのも良いだろう。箱根エリアに向かう4方向のクライムルートのうち最もポピュラーなルートなので、箱根のファーストライドにおすすめ。

【箱根】ルート01「箱根満喫周回ルート」

箱根湯本駅を起点に、グルメや観光名所、景観ポイントをくまなく巡るよくばりなルート。60km強と距離はあまりないが、獲得標高は実に1679m。特に箱根山の舗装道路最高地点「大涌谷」までがかなりの難所になるだろう。ポイントは駒ケ岳ロープウェー山頂かと、大観山展望台からの2つの絶景。どちらも魅力的なパノラマビューが楽しめる。編集部イチオシの「旅ルート」だ。

箱根

言わずと知れた観光地「箱根」はロードバイク旅にとっても非常に魅力的なエリア。温泉や、湯葉などのご当地グルメなどの観光はもちろん、小田原方面、湯三宿方面、湯河原方面、御殿場方面の四方から様々な峠アタックが可能。それぞれに異なる表情を見せてくれるため、標高は低くともクライムエリアとしても評価が高い。「エヴァンゲリオン」のファンにとっては聖地(巡礼地)でもある。

【丹沢・ヤビツ】ルート02「ヤビツ峠(裏)」

はじめにヤビツを攻めるならまずは裏から始めた方が良いかもしれない。距離は表より長いものの、獲得標高は150mほども少ない。道幅は表ヤビツより狭いため走行にはより注意が必要だ。また、裏ヤビツが始まる“宮ヶ瀬北原”までは、高尾駅からであれば平坦を23km弱と、峠までを往復をしたとしても上り1回の80km(表を下って、秦野駅まで行けばより短い)と利便性も悪くはない。