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【東京五輪2020特集】やっぱりクライマーが有利?ロードバイク種目推定コースをパターン別に徹底分析

2017年末時点に公表された「2020年東京オリンピック自転車競技 ロードバイク種目」のコース案を元に、推定コースを複数作成。各区間ごとのデータを紹介しながら、ロードバイク種目のコース分析や戦況予想などをしてみた。事前に見ておけば、より深みあるのオリンピックロードレース観戦ができるはずだ。

 

  1. オリンピックのロードバイクコースが複数案ある理由
  2. ロードレースのコースを6つに区間分け
  3. 各区間ごとのルートデータの紹介
  4. コースパターンA/獲得標高MAX
  5. コースパターンB/後半ド平坦
  6. コースパターンC/編集部本命予想
  7. まとめ

1.オリンピックのロードバイクコースが複数案ある理由

オリンピックのロードバイク種目について、2017年末時点でコース案は公表されたものの、それは「全体図」「スタート・ゴール地点」のみだ。その中身は「周回する部分」が複数あり、確定ルートは不明なままだ(スタート及びゴール地点は2018年3月に確定)。編集部では、現状で判明している情報をもとに、3パターンの推定コースを作成した。いずれも特徴あるコースどりになっており、それぞれに戦況予想も合わせて紹介する。
なお、それぞれのルートラボのデータも公開しているため、戦況予想など活用してもらえれば嬉しい。


オリンピックコースの3Dマップ図
3Dで見ると富士山麓エリアの起伏の激しさが伺える

》3D俯瞰動画付きコース予想記事はコチラ

2.ロードレースのコースを6つに区間分け


オリンピックロードバイクコース全体図
今回のオリンピックコースは、全長266kmに加え、獲得標高は少なくとも4300m以上…、かのロンド・フラーンデレンやジロ・デ・イタリア以上の長距離&過酷なワンデーレースだ。今回の企画では、コース全体を6つに区分けし組み変えることで、推定コースを作成した。6つの区間は下記の図の通り、スタートから山中湖までを2分割、それ以降を4つに分けている。
−「富士スピードウェイ」前から富士山麓へ向かう「用沢T字路」までは、重要度が低いため割愛。

山中湖以降の後半エリアについては、「山中湖周回」「三国・明神峠と籠坂峠の周回(以下、明神籠坂周回)」「富士山麓周回」と3つの周回できるルートが存在する。そのため、それぞれの「走行順序」「周回の向き」「周回数」によって、大きくコースの傾向が変わってくるのだ。各区間のデータは次の項に。

3.各区間のルートデータ

距離 最大標高差 登り平均斜度
市街地区間 48.6km 179m 3.2%
オリンピックロードバイクコース市街地区間の獲得標高図
序盤の市街地エリアは、距離こそ50km弱あるものの、ほぼ平坦であるためパレードランに近い状況になる可能性が高い。逃げ集団は発生するだろうが、基本的には大集団での走行がほとんどになるはずだ。
道志みち区間 42.9km 916m 4.8%
オリンピックロードバイクコース道志みち区間の獲得標高図
13kmかけて標高1000m近くまで徐々に高度を上げていく道志みち。ここはトレーニングコースとしても人気が高い区間だ。斜度も比較的緩やか(プロからしたら)で、大きな差がつく可能性は低い。ただ、道幅が狭い箇所が多いということ、そして、途中、両国橋(64km)あたりで急に斜度10%の激坂になる箇所があることを考えると、戦況が動く可能性もある。オリンピックの観戦スポットまとめページはコチラ
山中湖区間 13.4km 34m 2.7%
オリンピックロードバイクコース山中湖区間の獲得標高図
1周12.3kmの山中湖はほぼ平坦で、三国・明神峠、籠坂峠へと繋がる周回区間。この周回がコース全体の「どのタイミングに位置するか」そして「何周するか」によって、コース全体のタイプや難易度が大きく変わってくる。レース的には平坦ではあるものの、非常に重要な区間になることは間違いない。
三国・明神峠区間(富士SW→山中湖) 12.3km 701m 10.6%
オリンピックロードバイクコース明神峠区間の獲得標高図
富士スピードウェイ側から三国峠を目指すクライム区間(明神籠坂周回を左回り)。平均斜度10%・最大斜度20%という全国でも屈指の激坂は、確実に戦況が動くポイントだ。この峠が後半に配置されれば、平坦を得意分野とする選手はかなり厳しい戦いを強いられることになる。
三国・明神峠区間(山中湖→富士SW) 12.3km 179m 5.1%
オリンピックロードバイクコース三国峠区間の獲得標高図
三国・明神峠を逆向き、山中湖側から進む場合(明神籠坂周回を右回り)は上り200mに満たないが、逆に、下りは斜度10%の激坂を下るという危険エリアとなる。明神の激坂がなくなれば幾分か体力の消費も少なくて済む。
籠坂峠区間(用沢T字路→山中湖) 15.1km 585m 4.8%
オリンピックロードバイクコース籠坂峠区間登りの獲得標高図
小山町用沢のT字路から、山中湖へ向かう籠坂峠の区間(明神籠坂周回を右回り)。この区間は標高差こそ600m近くあるが、距離も長いため、平均斜度は4.8%にとどまっている。しかしながら、それでも15km以上続く上り区間は確実に選手の登坂力差が現れてくるポイントだ。
籠坂峠区間(山中湖→用沢T字路) 15.1km 114m 4.8%
オリンピックロードバイクコース籠坂峠区間下りの獲得標高図
山中湖から富士山麓へ向かう(小山町用沢のT字路まで)ルートどり。道筋も後半は直線道が多く、ダウンヒルを得意とする選手にとっては、タイムの稼ぎどころとなる。
富士山麓(右回り)区間 39.5km 947m 5.5%
オリンピックロードバイクコース富士山麓(右回り)区間の獲得標高図
本コースの目玉と言って良い、富士山麓を周回する区間(右回り)。車専用の有料道路「南富士エバーグリーンライン」を登るこの道は平均斜度5.5%ではあるが、登坂区間15km以上のみちのりの体感値はそれ以上だ。関東県のメジャーどころで例えるならば、「ヤビツ峠を1.5倍」したような区間だ。しかも、この場所は、それまで150km以上を走ったのちに、2周するという恐ろしいコース設定。下り部分は終始ほぼ直線のため、ダウンヒルでの追い上げがしやすい。
富士山麓(左回り)区間 39.5km 947m 5.7%
オリンピックロードバイクコース富士山麓(左回り)区間の獲得標高図
富士山麓区間の左回りのルートデータ。右回りの場合と比べ、上りの斜度が若干急になり、また、下りがつづら折りの道になるためダウンヒルでスピードに乗りづらいくなるため、よりクライマーに有利なコース設定となる。

4.コースパターンA/獲得標高MAX

オリンピックロードバイクコース獲得標高図1過去の記事で紹介した、富士山麓エリアの魅力(起伏)を存分に発揮した、クライマー向けコース。データを見るとわかるように、獲得標高5000m越えという驚異のルートどりだ。おそらく、このコースが発表された段階で、純粋なスプリンター達は出場しなくなるだろう。

267.6km
走行距離
17h50m
想定所用時間
5062m
獲得標高
1410m
最大標高差
5.0%
上り平均斜度

》上記パターンを紹介した過去記事はコチラ『【東京五輪2020特集】ロードバイク種目の推定コースを紹介(2018.02.06)』

≫ルートラボデータのDLはコチラ(GPX)
≫ルートラボデータのDLはコチラ(KML)

5.コースパターンB/後半ド平坦

オリンピックロードバイクコース獲得標高図2富士山麓周回を1周のみにし、山中湖の周回をすべて後半に持ってくるルートどり。今回のオリンピックコースでは、どのパターンであっても「道志みち」「籠坂峠or三国・明神峠」「富士山麓」の三つの大きな峠を超えなければならない。そのためスプリンターやクロノマン、タイムトライアリストなどの平坦系の選手にとってはそもそも不利(というか無理)なコースにならざるを得ない。そんな事実に納得いかない、編集部きっての平坦屋MRSNが考えぬいた末、思いつたコースパターンだ。本パターンでは、3つの峠を上りきり、引き離されてしまった平坦屋たちが、残り70kmの平坦&下りで状況をひっくり返せるかどうか。そして、平坦エリアでの、各国、各プロトンの駆け引きが繰り広げられる(はず…)。そんなワクワクする状況が想定できるルートどりだ。

263.1km
走行距離
17h32m
想定所用時間
4377m
獲得標高
1410m
最大標高差
4.4%
上り平均斜度

≫ルートラボデータのDLはコチラ(GPX)
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6.コースパターンC/編集部本命予想

オリンピックロードバイクコース獲得標高図3パターンAとBの折衷とでも言えるルート。富士山麓は2周するものの、山中湖の平坦区間を後半に配置し、かつ最後の下りを籠坂峠側(つづらが少なくスピードが出しやすい)にすることで、平坦が得意な選手陣の最後の巻き返しの可能性を持たせている。しかしながら、パターンAに同じく獲得標高は5000mを超えてくるため、ある程度クライマーに有利であることは否定できない。それでも、編集部座談会での戦況予想は、このパターンがもっとも予想が難しいコースどりと結論づいた。富士山麓エリアでのクライマーたちの激しいデットヒートを楽しみつつ、後半の平坦エリアでもドラマが生まれるかもしれない、そんな期待をさせてくれるルートだ。

268.8km
走行距離
17h55m
想定所用時間
5093m
獲得標高
1410m
最大標高差
5.0%
上り平均斜度

≫ルートラボデータのDLはコチラ(GPX)
≫ルートラボデータのDLはコチラ(KML)

7.まとめ

実際は、予想パターンはもっと多く作成したが、その中でも比較的分かりやすく、且つより面白くなりそうな3案を紹介した。
【1】富士山麓の地形を生かしたクライム強化コース
オリンピックロードバイクコース獲得標高図1
【2】山中湖平坦道での駆け引きが見られるか?後半平坦コース
オリンピックロードバイクコース獲得標高図2
【3】予想困難?エリアの魅力を発揮したバランスコース
オリンピックロードバイクコース獲得標高図3
富士山麓エリアが選ばれた時点で、今回のロードバイク種目では、まず「登れる」ことが前提条件となってしまうようだ。先に記載した通り、最も獲得標高の低いルートどりであっても少なくとも4000mは超えてしまうため、残念ながらピュアスプリンターたちの出番は少ないのかもしれない。選手によっては、BMXやトラックレースでの出場を目指していることだろう。
また、各区間の情報はここではデータの羅列にとどまっているが、それぞれのデータを把握した上で、是非一度実走してみてほしい。全てとは行かないだろうが、三国・明神峠、山中湖、道志みちあたりだけでも走っておけば、編集部の戦況予想がおおよそ実感できるだろうし、自分が走ったことのあるコースをプロの選手たちが走る映像を見るのもきっと楽しいはずだ。編集部でもオリンピックの競技当日が楽しみで仕方がない。

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富士山

名峰「富士」。標高3,776mの日本一のその山は、ロードバイク旅においても最も魅力的な場所のひとつだ。毎年初夏に行われる『Mt.富士ヒルクライム』のコース「富士スバルライン」をはじめ、「ふじあざみライン」「富士スカイライン」と名だたる坂がクライマーたちを魅了し、周囲に有する5つの湖や高原地の草原が作り出す雄大な風景が、全てのローディを楽しませてくれる。まさに理想の「ロードバイク旅」を叶えるにふさわしい、編集部イチオシのエリアだ。漫画「弱虫ペダル」に登場するインターハイのコース、及びゴール地でもある。