旅ログ

実はまだ知られていないクライム秘境「那須高原」へ

今回、自称スプリンターのMRSNが珍しくヒルクライム処の那須高原に「行ってみたい!」と企画を持ち込んできた。何事かと思ったが、山好きな自分としては「ほーん、いいんでない」ということで快諾したものの…。ロードバイクで地表を感じられる那須高原ライドのレポートをお届けする。

  1. 知っているようで知らないロードバイクでの那須高原
  2. 自転車に優しい街「那須町」にちょっとだけ感動
  3. 水田と木々の間をロードバイクで駆け抜ける
  4. 「ごめん…間違ってた。ここからが本格的な登りらしい」
  5. 自然の匂いを走行中ずっと感じられる那須高原
55.4km
走行距離
3h41m
想定所用時間
1289m
獲得標高
1141m
最大標高差
5.1%
上り平均斜度

▲今回のルートは「那須高原ロングライド」のコースを参考にさせていただいた

1.知っているようで知らないロードバイクでの那須高原

那須高原といえば、御用邸やら別荘地がある避暑地のイメージが強い。近いところとしては軽井沢のようなイメージがある。ロードバイク乗りにとっては近年、プロチームの那須ブラーゼンの活動やJプロツアーの大会が開かれていることなどで身近な場所になっているかもしれない。
標高が比較的高く(市街地の黒田原駅でも335メートル!)年中涼しいことから、自然の中でヒルクライムや高原ライドを楽しむにはもってこいの場所だ。

そんな那須高原に、坂が嫌いと普段から言いまくっているMRSNが行ってみたいと言いだした。理由を尋ねたところ「牧場が広がる平原とかの感じでしょ!すごい景色とか良さそうでいいじゃない」とのこと…。
おそらく知っている方は知っていると思うが、那須高原は大半が平原ではない。市街地近くは高原らしく緩やかな斜面が広がるが、ロードバイク乗りが本格的に攻めるメインディッシュは獲得標高1400m超の那須岳になる。
下準備の際、ルート選定時にMRSNが「え、山やん!」となったのは言うまでもない。

ロードバイクで那須高原を登る途中の風景

6月の那須高原。青々とした葉をつけた低木が一面に広がる独特の風景が広がる

2.自転車に優しい街「那須町」にちょっとだけ感動

朝7時過ぎの那須町に車で到着してまず、自転車で街を少し散策する。まだ起きていない街の中で時折見える那須ブラーゼンののぼりやポスター、自販機なんかが目につく。話には聞いていたがここまで町全体で応援している雰囲気を感じられるというのは、自分の住んでいるところにプロチームがないのもあって少し羨ましくも感じた。
そして何より、どこへ行っても自転車ラックが置いてあることに少しの感動を覚える。手作り感の残る木製のラックは少し温かさを感じた。

那須町所属のロードバイクチーム「那須ブラーゼン」の自販機
軒先にある自転車ラック1
軒先にある自転車ラック2

那須町の行政施設が集まる黒田原駅周辺は、那須ブラーゼンの拠点があるため、ポスターや”のぼり”が多く見られた

ブラーゼンベースの店舗が入る建物

那須ブラーゼンベースが入る「黒田原まちづくりセンター」。残念ながら早朝過ぎたため、『那須ブラーゼンベース』はまだ開店前

3.水田と木々の間をロードバイクで駆け抜ける

山岳までのアプローチは水田や木々の間をひたすら走り抜けていく。少し緩斜面だが、その空気感が素晴らしいため、疲れを感じることはない。
個人的には田舎特有の空気に、少し懐かしさを感じながらペダルを踏んでいた。
MRSN曰く「360度自然に囲まれたこの雰囲気はどうしても写真だと伝わらないんだよね〜」とのこと。走行の途中途中で撮った写真を見ながら、確かにと思う。

「黒田原まちづくりセンター」

結構よく撮れた方の写真。これでもまだ空気感が伝わりきらない。本当はもっともっとパノラマの田園風景が左右に広がる

那須高原の中腹に通る農道をロードバイクで走る

緑のトンネルが連続する農道。車線も狭くなく、休日だからこそなのか、車通りもほとんどない。思う存分自然を楽しみながら走ることができた

少しずつ斜度がきつくなっていく中で、開けた空間も無くなっていき、徐々に山々しくなっていく。同時にギアがだんだんなくなっていくのだが、この時点ではまだ本格山岳ライドは想定できておらず、後で心を折られることになる。

ロードバイクで那須高原を登る途中の風景
那須高原途中にあるジャージー農場
那須高原の農場の乳牛

緩慢な登りの道中にいくつかのアップダウンや、先が見えないほどのまっすぐな道が出迎えてくれる。農場や動物パークがちらほらと広がり、高原らしいおだやかな雰囲気

那須どうぶつ王国の外観
那須どうぶつ王国からロードバイク越しに見る那須高原の風景

那須どうぶつ王国。オープン直後ということもあり、駐車場は閑散としていた。標高は720mほどだが、それまでの木々に囲まれた坂道から一気にひらけた場所に出るとかなり気持ちがいい。そして、余裕を持って坂を楽しめる緩斜面はここで終わりを告げる

4.「ごめん…間違ってた。ここからが本格的な登りらしい」

標高720mほどに位置する那須どうぶつ王国までは平均斜度2〜4%ぐらいの緩斜面だったが、そこから標高1000メートル地点までは平均8%ぐらいが5キロ弱続く。
標高1040m地点の八幡崎がゴールだと思っていたわけだが、ここでルート担当だったMRSNから「まだ先があったわ笑」という衝撃の一言がでる。
ここから頂上まで5キロの道のりがなんと平均斜度8%、ところどころ10%超の道のりということで一気にチマコッピ化してしまったのだった。

ロードバイクで登ってきた八幡崎からの眺望

ゴールと勘違いした八幡崎。目の前に180°広がる雄大な裾野に地球の大きさを感じる。ただ、終わりだと思っていた坂道がさらに倍続くと思うと、ペダルを漕ぎ出す足は決して軽くはなかった

きつくなって行く勾配をひたすら踏み続ける中で、ところどころ見えるひらけた風景からは綺麗に裾野のラインが見える。地球の凸凹の上を走ってるんだということを考えると、ちょっと不思議な気分になる。そんな現実逃避な思考でなんとか標高1640m付近の大丸園地にたどり着いた。

ロードバイクで登ってきた大丸園地を下からみた風景
ロードバイクで登ってきた大丸園地を上側からみた風景
ロードバイクで登ってきた大丸園地にある潰れた温泉

標高1260mあたりの大丸園地。廃れてしまっていて2店舗ほどお休み処が残るのみ。あと2kmほどで頂上だが、ここからさらに斜度は上がり10%を超える激坂ゾーンへ

ロードバイクに乗りながら那須岳を望む

目の前にそびえる茶臼岳が目に入る。ふと周りに目をやると木々はさらに背が低くなり、山肌が見えてきた。そんな自然の移り変わりが森林限界が近いことを知らせてくれる

ロードバイクに乗りながら那須岳を望む

茶臼岳山頂へと向かう「那須ロープウェイ」。ここまでくれば後一息。時折、風が吹きすさぶ高原の風が、熱を持った体を冷やしてくれる

峠の茶屋へと続く最後の直線坂道

峠の茶屋へと続く最後の直線坂道!あとはカーブを曲がるだけだ

ロードバイクに乗りながら「那須岳 峠の茶屋」を遠目に見る
「那須岳 峠の茶屋」にある看板とロードバイク
「那須岳 峠の茶屋」の外観
「那須岳 峠の茶屋」の中の風景

頂上は「那須岳 峠の茶屋」。山自体はまだ上があるが、舗装路はここまで。茶屋では、名物「きのこうどん」と「山菜うどん」、あと「牛乳」を堪能

5.自然の匂いを走行中ずっと感じられる那須高原

走り終えた後、那須高原が他の山と違う点が何だろうかという話になったのだが、「木々の匂いがすごい」という点は確かにと思った。高原特有の、森がひたすらゆるやかな斜面上に続いて行くあの世界観はなかなか他で感じられるものではない。
水田、木々、風、道路、そういうどこにでもあるものがちょっとずつ違って感じられる那須高原。結構、無茶かなと思った週末日帰りのスケジュールの中、意外と心地良い疲れとともに帰ってこられたのは、実は他の人にはまだ知られていない体験なのかもしれない。

恋人の聖地「那須高原展望台」からのパノラマ風景

峠の茶屋から那須温泉方面への下り途中にある、恋人の聖地(!)「那須高原展望台」からの風景。今回のライドでは、ここが最も美しく那須高原を一望できるかもしれない

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日光

日光はまさに名所の密集地だ。鬼怒川温泉をはじめ、世界遺産「日光東照宮」、落差97mの大瀑布「華厳の滝」、戦前から残る歴史ある「金谷ホテル」、ロードバイク目線でも、かの有名な「いろは坂」、男体山の麓「中禅寺湖」、戦場ヶ原の2kmにも及ぶ平坦直線、女峰山の「霧降高原道路」など枚挙に暇がない。どんなロードバイク旅の期待にも答えてくれるであろう全国屈指のロードバイクエリアだ。